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第210話 大食い対決

Author: 雨音休
last update publish date: 2026-10-22 06:03:44

 ――乗り物コロシアムクエスト、入賞する

 王都の東のはずれにある円形闘技場に来ていた。

 高い段差の上にある観客席は、プレイヤーやNPCのお客さんたちで賑わっている。入り口にはファストフードを売る露店が出ており、観客たちがフライドポテトやチキンなどを頬張っていた。乗り物コロシアム開催委員は他にも料理を作っているようで、いま豪快に肉が焼かれていた。それが何のための料理なのかは、今のところキャルル丸には分からなかった。

 キャルル丸の主人たちは観客席の前列の一角を陣取っており、興奮したような様子で紙コップのジュースを飲んでいた。

 試合場には乗り物たちが集まっている。にわとり、ウサギ、ブタ、牛、馬、狼、大蛇、様々いる。どれも立派な体格をしている。これから予備選が始まるようだ。キャルル丸は顔をキョロキョロとさせて、エリザの姿を探していた。ふと、左斜め前方にピンク色の竜の姿を認める。エリザだ。思わず頬が熱くなった。

(エリザよ。美しきピンク色の竜よ)

 キャルル丸は独白しつつ、淡いため息をつく。

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  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第210話 大食い対決

     ――乗り物コロシアムクエスト、入賞する 王都の東のはずれにある円形闘技場に来ていた。 高い段差の上にある観客席は、プレイヤーやNPCのお客さんたちで賑わっている。入り口にはファストフードを売る露店が出ており、観客たちがフライドポテトやチキンなどを頬張っていた。乗り物コロシアム開催委員は他にも料理を作っているようで、いま豪快に肉が焼かれていた。それが何のための料理なのかは、今のところキャルル丸には分からなかった。 キャルル丸の主人たちは観客席の前列の一角を陣取っており、興奮したような様子で紙コップのジュースを飲んでいた。 試合場には乗り物たちが集まっている。にわとり、ウサギ、ブタ、牛、馬、狼、大蛇、様々いる。どれも立派な体格をしている。これから予備選が始まるようだ。キャルル丸は顔をキョロキョロとさせて、エリザの姿を探していた。ふと、左斜め前方にピンク色の竜の姿を認める。エリザだ。思わず頬が熱くなった。(エリザよ。美しきピンク色の竜よ) キャルル丸は独白しつつ、淡いため息をつく。 一目見た時から、彼女のことがたまらなく気に入っていた。試合前に、少し話すことはできないだろうか? お近づきになって、その顔をべろりべろりと舐めてあげたい。:乗り物コロシアムが始まりますねw:今回の予備選の内容はなんだろうな?:キャルル丸ぅぅ、応援してるぜぇぇ! キャルル丸はエリザの方へ歩き出した。だが、黒馬が身体を割り込ませて立ちはだかる。 テレサだ。 キャルル丸はつぶらなグリーンの瞳でテレサを睨みつけた。「きゃるる」(貴様、我に何用だ? そこをどけ)「ぶるるっ」(キャルル丸、また会ったな)「きゃ、きゃるるっ!」(お前のデカい鼻は醜いから、二度と見たく無かったな)「ぶるるぅ」(キャルル丸よ。お前の白い顔を拝む度に、貧血で死にそうに見えるから心配になるぞ)「きゃるるる!」(我の肌の色を愚弄するか! 許さんぞ)「ぶるー」(貧血のキャルル丸よ。今度こそ勝つのは俺だ)「きゃるるぅ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第209話 白竜の実力

    「キャルル丸、手加減は要らないわ。本気で来なさい」 ベルフラウはダガーを両手に構えており、キャルル丸を睨みつけている。「きゃるる、きゃる!」 キャルル丸の瞳が鋭く引き締まる。 午前七時過ぎ。 王都アランクルスの道具屋前の大通りで、ベルフラウとキャルル丸は対峙していた。 乗り物コロシアム前の特訓である。 少し前に、キャルル丸のレベルは30に上がったようだった。乗り物コロシアムで勝てるようにウミが協力をしたのだとか。おかげで超越スキル、エボリューションを習得している。だけど、どこで誰が見ているかも分からないこの場所で、エボリューションを使ってはいけなかった。キャルル丸の切り札である。 道の脇には仲間たちが並んでいて、これから始まる決闘を注視している。 ステータス画面を操作してベルフラウが決闘を申し込んだ。「きゃるっ」 キャルル丸が承認を押す。 ドンと音がした。 ――決闘始め ベルフラウが右手を掲げる。「メイクアップ」 小さな手鏡が生まれて虹色の光りを放った。アジリティが上昇する。「きゃるるるぅ!」 キャルル丸がおたけびを上げて走り出した。その両手両足にはスカーレットクローが装着されている。ベルフラウに向けて真っ直ぐに突進してくる。一見隙だらけだ。:キャルル丸は猪突猛進ですw:こんな隙だらけな攻撃いいの?:行けキャルル丸、そこだ!(あのねぇ、キャルル丸) ベルフラウは呆れたように吐息した。キャルル丸は無防備すぎである。(もっと相手の出方をうかがわないと) ウミが両手を口に当てて応援している。「キャルル丸、頑張るですよー!」「キャルル丸、負けない」 アイギスも力強くつぶやいた。 主人のニキが固唾を飲んで見つめている。 晴恋は両手のひらを握り合わせていた。 キャルル丸がどたどたと近づ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第208話 高嶺の花はピンク色

     翌日の早朝。 王都アランクルスは人々の活気に満ちていた。そびえ立つ王城を中心として、赤い屋根の家々が円形状に広がっている。地面は綺麗な石畳であり、水路もあった。水路は真っ直ぐに港の方へと注いでいる。馬車や牛車が行き交っていた。プレイヤーたちが石畳に絨毯を広げており、露店を開いている光景もあった。武器や服、バフ料理や回復アイテム、素材アイテムなどを売っているようだ。こんな朝早くからご苦労なことである。以前にトウマが言っていたことをウミは思い出していた。プレイヤーたちには、ゲームのヴァルを円に換金して生計を立てている者も多いらしい。商人は、人が通りかかるたびに「いらっしゃいませ」「便利なアイテムはいかがですか?」などと声を張っている。(綺麗な石ころも売っているのでしょうか?) 露店を覗きたい気持ちが、ウミの心の中でうずうずと高まる。(絶対に後で見に行くです) ウミとアイギス、キャルル丸は喫茶店リヴァにいた。甘いコーヒーを飲みながら、ステータス画面を操作している。キャルル丸は桶に入った甘いミルクを飲んでいた。 配信はしていない。 テーブルの椅子に座りながら、ウミが話しかける。「アイちゃん、わ、わわ、ワールドチャットをやってみるですぅ」「うん」「ワールドチャットって、私、初めてですぅ」「大丈夫」「きゃるるぅ」 昨夜、みんながログアウトした後でウミは四枚の絵を描いた。武器制作のミニゲームである。だけど三枚は大失敗した。デッサンアイディアは乗り物武器しか無いため、出来上がったのはスカーレットクローが一つと錆びた牙が三つである。SランクとEランクだ。スカーレットクローをワールドチャットで売れば、大金を入手できるはずである。 ウミが聞いた。「だけどアイちゃん、いくらにしましょう?」「200万ヴァル以上で売れると思う」「そ、そんなにしますかね?」「うん。もっと上げてもいいかも」「……じゃ、じゃあ、に、220万ヴァルにしましょうか?」「

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第207話 二本の電話

     アパートに帰宅して、部屋で真帆たちはくつろいでいた。 すでに夕食を終えている。お風呂も済ませた。 ピンク色の部屋だった。カーペットもカーテンも、布団カバーまでピンク色である。それは真帆のお気に入りのカラーだった。最近はじっとりとしていて暑い。なので、冷房をつけていた。真帆とユウマはテレビを見ることもせずに、二人の時間を楽しんでいる。いま、ユウマが真帆にマッサージをしてくれていた。足の裏を両手で握り、優しく揉み込む。時々、つぼを強めに押した。痛気持ち良くて、真帆は声を上げる。「いたたたっ」「ここはどうだ?」「ちょっとユウマ、きついわ」「足の裏が凝っているな。だいぶお疲れのようだ」「もうちょっと、手加減しなさい」「こっちはどうだ?」「もう、ダメよユウマ」「足が温かくなってきたな」 ユウマがにんまりと笑顔を浮かべる。 真帆はちょっと開放的な気分で足を揉まれ続けた。この後はいつも通り、二人で愛を育む。だけど今日のユウマはマッサージが長い。この男、最近は揉むのが上手になってきた。毎日マッサージをしてくれているせいだ。 ふと、枕元で真帆のスマホが鳴った。「ごめん、ユウマ、電話だわ」「そうか」 ユウマが真帆の足を離す。 スマホを手に取ると、母親からだった。真帆は緊張でお腹が痛くなる。せっかくの二人きりの時間だったのに、またあの話だろうか? マットレスに腰掛けて電話に出た。スマホを耳に当てる。「もしもし、お母さん?」「真帆か。ごめんね、何度もかけて」「うん、大丈夫」「真帆、朝の話の繰り返しなんだけれどね」「うん」「今日のお昼も、高梨さんの家から電話があって、賠償金の支払いを催促されたんだわ。それでね、お父さん、自分の友達を片っ端から当たって、お金を貸してくれないか頼み込んだんだ」「うん、それで?」「なんとか50万円を貸してくれるって人が現われたけれど、それだけでね。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第206話 一緒に探そう

     夕食後の露天風呂。 いま、晴恋とニキで混浴温泉に入っている。 身体には白いバスタオルを巻いていた。入浴用タオルであり、マナー違反ではない。すでに身体と髪は洗ってある。お湯の中に身を沈めながら、晴恋はどぎまぎとしていた。魔導具の灯りに照らされて、水面はキラキラと輝いていた。お湯は少しぬるくて、いつまででも入っていられそうだ。肌当たりが柔らかいお湯である。 他に客はいない。 夜空に浮かんでいる三日月だけが、二人のいちゃいちゃを覗き見ていた。(何だか、大胆な気分になっちゃいます) 晴恋の隣では、ニキがおちょこで日本酒を飲んでいる。湯舟酒のおぼんが水面にぷかぷかと浮かんでいた。晴恋はおしゃくをしていた。 ニキが赤ら顔でつぶやく。「晴恋は可愛いさ」「くぷぷ……どのぐらい可愛いですか?」「ベルさんよりも可愛いさ」「本当ですか?」 胸がドキりと高鳴る。 とびきりに嬉しかった。「本当だよ。ギルドでナンバーワンさ」「それは言い過ぎです」「言い過ぎじゃないって。ウミちゃんよりも、アイよりも、キャルル丸よりも可愛いさ」「くぷぷ、キャルル丸と比べるんですか?」「世界で一番可愛いってこと」「もう、ニキさんったら」 晴恋はニキにお酌をする。 ニキがおちょこを差し出した。「晴恋も飲みなよ」「飲みましょうか?」 晴恋はおちょこをそっと掴み、すするように飲んだ。おちょこを置く。「今日は倒れるまで飲むさ」「倒れたらダメです」「どうしてだい?」「どうしてって。それは、これから、部屋で……」 ニキは気づいたようで、口角をにんまりとつり上げた。 晴恋は恥ずかしくなって右手を上げる。水面がちゃぷんと音を立てた。「もう、ニキさんのいじわる!」

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第205話 呼んでみただけ

     遊園地の出口付近では福引きが行われていた。 抽選器がガラガラと音を立てて回っている。 スタンプラリーのスタンプ一つにつき一回回せるようだった。 遠くには大きな観覧車があった。ゆっくりゆっくりと動いている。海賊船のスイングは未だに続いている。先ほどまでの楽しさを思い出して、晴恋は少し寂しい気持ちになる。日が完全に落ちて夜が訪れている。夜風が吹いて、スカートの裾がはらりと揺れた。だけど七月の夜の空気は温かい。夜空では星々が語り合うように瞬いている。夏の大三角形を探してみた。その際、晴恋は流れ星を見てしまった。消えてしまった後で祈りを込める。ギルドのみんなが幸せになれますように。王城争奪戦で勝利できますように。 今、ニキが抽選器を回していた。 ガラガラと鳴っている。 ぽんと白い玉が吐き出された。「また白さあ」 白い玉は五等賞であり、ポーション一個である。すでにニキは四つのポーションを入手していた。 先ほど晴恋も回してみたが、玉の色は全て白だった。 福引きなんてこんなものである。 晴恋が口角を上げて笑った。「くぷぷ、ニキさん。五等賞ですね」「本当だよ。この抽選器、当たり入ってるのかなあ」「さあ、どうでしょう」「ちくしょー。まあ仕方無いさ」「プレイヤー様、こちらをどうぞ」 福引きスタッフがポーションの小瓶を差し出す。ニキは受け取った。 後ろに並んでいたベルフラウが声をかけた。「ニキさん、代わって。次はあたしよ」「おう。ベルさん、一等賞を引くさ」「ふふん、任せなさい」 福引きを引けるのはベルフラウで最後だった。今のところ全員が白い玉である。 ベルフラウとニキが場所を入れ替える。だけど、ベルフラウはアトラクションを回っていない。スタンプは美術館のものだけのようだ。引ける回数は一回である。 彼女が福引きスタッフにスタンプラリーの紙を見せる。「回して良いかしら」「はい

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第8話 優しさなんて、関係ない

    森の道へと入った。 木の葉からこぼれる太陽の日ざし。茶色い小鳥が木枝から飛び立った。落ち葉の多い地面。空気は澄んでおり、森林浴にはもってこいだ。 森の奥へとウミはどこまでも逃げて行く。その背中をテラーウルフが追いかける。そのまた後ろをトウマが追跡するという構図だ。 可愛いは正義勢:ウミちゃん逃げて! 古参ニキ:死んだと思ったらまだ生きてる。 開けた大地にたどり着くとトウマは唱えた。安っぽい木の杖を構える。 「グラヴィティライン」 トウマの杖から青黒いロープが伸びた。テラーウルフの足に巻き付いて拘束する。 「がうばうっ!」 走っていたテラーウルフは前のめりに

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第7話 効率も意義も通じない

     草原の中心に、黒い渦を巻いてテラーウルフが出現する。残忍な顔つき、漆黒の体毛、巨大な白い牙。その圧倒的な存在感に、トウマの背筋から冷や汗が伝った。 テラーウルフが高々と吠える。 「ガアルルルゥゥッ!」  ドンと音がして空中に文字が表示された。 ――クエスト、テラーウルフの撃破 「ボスだ、逃げろ!」「俺は死ぬ訳に行かないんだー!」「私はせっかくレベル3に上がったんだからね!」  ウミがすぐに反応した。その表情は恐怖に彩られており、モフモフとした尻尾がピンと立っている。勢いよくこちらを振り向いた。 「ご主人様、どうすれば!?」「ウミ、動くな」  トウマは状況を冷静に分析する

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第6話 助けたのに

     村の北出口から外へと出る。 草原地帯があった。ところどころには岩がある。そこにいる魔物はフェアウルフの一種類。灰色の毛並みをした狼であり鋭い牙を誇っている。大型犬ほどのサイズだ。 狩りをしているプレイヤー数は多く、必死の形相でモンスターと戦っていた。 「俺の、俺の宿代をー!」「私はまだ朝食も食べていないんだからね!」「や、やべえやべえ、こいつら強えぞ!」  トウマは顔をしかめた。このゲームのプレイヤーはみんな無職なのだろうか? 分からない。(そう言えば、俺も朝食を食っていない) ドンと音がして、頭上に文字が表示された。  ――クエスト、フェアウルフの撃破  隣にいるウミ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第5話 梅おにぎり

     村の広場。 トウマたちは木製のベンチに並んで腰掛けていた。 ゲーム内は昼間であり太陽が出ている。近くにある桜の木が花々を満開に咲き誇らせていた。そよ風が吹いて、花びらがチラチラと地面を舞う。木枝が揺れる音がした。 大きめの梅おにぎりを、ウミが両手で持ってむしゃむしゃと食べている。モフモフと尻尾を振っており、ご機嫌のようだ。満面の笑みを浮かべている。 「美味しいですぅ、美味しいですぅ」「そりゃあ良かった」「ご主人様、ありがとうございます」「味わって食えよ」  梅おにぎり、200ヴァル。 道具屋で買ってきたものだった。手痛い出費である。 トウマは広場の光景を眺めた。中心には噴

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